未完成の言葉の欠片 / ※印は要注意orネタバレ / 二次はクリア後前提です
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2026.04.04 Saturday
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07/01/29
2007.01.29 Monday
「君の『人間的』の定義は?」
「冗長」
「あっははははは!」
腹を抱えてひとしきり笑ってのち、「確かにそうだ」と彼は未だ哄笑の余韻の残る口でおかしそうにそう言った。少年は表情を変えることなく、押し黙ったまま男を見る。目尻にうっすらと涙まで浮かべて、何がそれほど彼の気に入ったのだろう。
「無駄を贅沢と感じるのは人間だけかもしれない。ということは、冗長であるってことは一番人間的ってことだよなあ」
「贅沢、」
「うん。無駄なもの食って無駄な話をして無駄な装飾身に着けて無駄な人間飼って無駄に発情して。なんて贅沢」
大袈裟に両手を広げて、彼は口にする。
「冗長」
「あっははははは!」
腹を抱えてひとしきり笑ってのち、「確かにそうだ」と彼は未だ哄笑の余韻の残る口でおかしそうにそう言った。少年は表情を変えることなく、押し黙ったまま男を見る。目尻にうっすらと涙まで浮かべて、何がそれほど彼の気に入ったのだろう。
「無駄を贅沢と感じるのは人間だけかもしれない。ということは、冗長であるってことは一番人間的ってことだよなあ」
「贅沢、」
「うん。無駄なもの食って無駄な話をして無駄な装飾身に着けて無駄な人間飼って無駄に発情して。なんて贅沢」
大袈裟に両手を広げて、彼は口にする。
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06/10/31
2006.10.31 Tuesday
「勝負をつけていけ」
サイドテーブルの上には、差しかけのチェス盤。
「おまえの勝ちでいいよ」
ひらひらと手を振って彼は部屋を出る。
あと三手でチェックメイトだ。熾己は盤の上を手の甲で薙ぎ、駒が床に転がり落ちるのも気にせず、ベッドの上に身を投げた。
「むかつく」
サイドテーブルの上には、差しかけのチェス盤。
「おまえの勝ちでいいよ」
ひらひらと手を振って彼は部屋を出る。
あと三手でチェックメイトだ。熾己は盤の上を手の甲で薙ぎ、駒が床に転がり落ちるのも気にせず、ベッドの上に身を投げた。
「むかつく」
06/10/27
2006.10.27 Friday
「……彼は、おまえを護るためなら自分の命だって喜んで投げ出すだろう。“あれ”はそういう風に定められた一族だからね。けれど決してそうさせてはいけないよ」
諭すような穏やかな声。
「命に軽重は存在しない。おまえだけが大事なわけじゃないんだ。おまえと、彼と、どちらも同じくらいに大切なのだよ。わかったか?」
「はい、父上」
理解を促すようゆっくりと言われた言葉に、少年は真摯な睛で父親を見上げて頷く。すると彼は笑って少年の頭を大きな掌で撫ぜた。
諭すような穏やかな声。
「命に軽重は存在しない。おまえだけが大事なわけじゃないんだ。おまえと、彼と、どちらも同じくらいに大切なのだよ。わかったか?」
「はい、父上」
理解を促すようゆっくりと言われた言葉に、少年は真摯な睛で父親を見上げて頷く。すると彼は笑って少年の頭を大きな掌で撫ぜた。
06/10/26
2006.10.26 Thursday
飾られた白薔薇(そうび)の仄かな芳香。
「形だけでも顔を見せてやれ。皇后も喜ぶ」
花瓶に活けられた花を整えながら、冷淡な口調は崩さず彼は言い。
そして、ほんの少し顔を歪める。指の腹にぷつり、と赤い血の珠が浮いた。しかし表情に変化が見られたのはその一瞬だけだ。彼は何事もなかったように舌先でそれを舐め取る。
「侍女め、棘を落とし損ねたな」
「形だけでも顔を見せてやれ。皇后も喜ぶ」
花瓶に活けられた花を整えながら、冷淡な口調は崩さず彼は言い。
そして、ほんの少し顔を歪める。指の腹にぷつり、と赤い血の珠が浮いた。しかし表情に変化が見られたのはその一瞬だけだ。彼は何事もなかったように舌先でそれを舐め取る。
「侍女め、棘を落とし損ねたな」
06/10/04
2006.10.04 Wednesday
「だって、僕は誰が同室だって別に構わないもの。でも決めろって言われたから……」
少年はそこで言葉を切って、トランクの中を探り出す。しばらくしてようやく目当てのものを見付けたのか、取り出したそれを彼の目の前に差し出してみせた。薄い冊子。
「ええとね……あ、あった。これ」
「寮生名簿?」
「これで、こう……」
その指先が、上から順番に名前を指し示していく。
「ど・れ・に・し・よ・う・か・な……って」
歯切れのいいスタッカート。
「そんなことで……!?」
「うん」
少年はそこで言葉を切って、トランクの中を探り出す。しばらくしてようやく目当てのものを見付けたのか、取り出したそれを彼の目の前に差し出してみせた。薄い冊子。
「ええとね……あ、あった。これ」
「寮生名簿?」
「これで、こう……」
その指先が、上から順番に名前を指し示していく。
「ど・れ・に・し・よ・う・か・な……って」
歯切れのいいスタッカート。
「そんなことで……!?」
「うん」