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未完成の言葉の欠片 / ※印は要注意orネタバレ / 二次はクリア後前提です
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07/01/19
「後添えを娶るらしいぞ」
 まるで他人事のように皇帝は傍に仕える従者に言った。
 既視感を覚えるやり取りだと、アルフレートは眉を僅かに顰める。いつぞやもこれと変わらぬ会話をしたような。思いながらも口には出さない。
 同じようにして迎えた先の皇妃は、うつくしいひとだった。麗しの皇后陛下、氷花の麗人と、どれほど皆が口々に褒め称えたことだろう。艶のある長い銀の髪を後ろでまとめて綺麗に結い上げ、いつも凛とした立ち姿で佇んでいた。けれどその形のいい眉は神経質に顰められることが多かったし、その思慮深さは彼女に、宮廷においては堅く口を閉ざすことを覚えさせた。
 早くに世継ぎたる男子にも恵まれ、将来の国母としての地位も安泰したものであったというのに、彼女の面はいつも翳りが彩っていたように思う。決して幸深いひとだったとはいえない。望むと望まざるとに関わらず定められるまま皇家に嫁ぎ、宮廷に縛られて短い生を終えた、哀しいひとりだ。
「ご自分のことでしょうに。で、どちらの姫君ですか」
 嘆息を一つ吐いて続きを促すと、
「異国(とつくに)の女王」
 エアハルトはぶっきらぼうに答える。
「異国?」
「聞いて驚くな。あの慶紹の巫女だ」
「あの〈未来視(さきみ)〉の……」
 噂には聞く。十重二十重に護られた神殿(やしろ)の奥にいまし、遥か東国の女王。予見の能力によって人心を集め、供物の儀式と占術で国の行く末を定める魔女。決して衆人の前に姿を現すことなどなく、慶国の中でも限られた、一握りの人間しか相見えることを許されないという。
 けれどそんなところになど彼の主の焦点は定まっていないようで。
「見目麗しい娘だといいが。姥(おうな)だと困るな」
「逆に子供だったらどうします」
「仮にも一国の女王だぞ。それはないだろう」
 気のない様子でエアハルトは執務机に頬杖をつき、薄い水色の瞳でちらり、と天井を見上げる。
「体のいい貢ぎ物だな。どういう二枚舌で巻き上げたのかは知らんが、憐れな」

 その後。

「よかったじゃありませんか、『見目麗しい娘』で。漆黒の髪に緋の瞳の乙女」
「……子供だろうあれは……」
「犯罪ですね」
「そうかもな」

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陛下は女の人は好きですが基本的に特定の相手に固執しなさそう。決められた相手のことは好きになるし大事にするけど、「この人じゃなきゃ」みたいなのはなさそうだ。一途なのはアルフレートさんの方。オークスはわかりにくいだけで一途なんだよ!
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