未完成の言葉の欠片 / ※印は要注意orネタバレ / 二次はクリア後前提です
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2026.04.04 Saturday
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十章冒頭・没にした分
2009.03.21 Saturday
「気配を消して近付かないで」
「え?」
「もう少し人間らしく足音くらいは立てなさいな」
柵の向こうに広がる遠景に視線を注いだまま、こちらをちらと見ることもせずに彼女は言う。素っ気無い口調の指摘に一瞬考え込み、そしてようやく意味を把握した。
「あ、ごめん」
忠告に対し軽く謝ってから、視線を落としたヴァルトは自分の足元を見つめる。配慮が足りない。ここ最近、自分が感じているよりもずっと憔悴しているようだと思った。両の手をポケットに突っ込んだままトントン、と二、三度靴底で床を踏みしめるように音を立て、改めて白衣姿の金髪の女史に近付く。一からやり直しだ。
彼らがいるのはヴィルノア基地の本部棟屋上だった。広大な基地の全貌を見渡せる開けた視界、頭上には雲一つなく高く澄んだ晩秋の空が広がる。晴天だ。基地の併設するヴィルノア市側を望めば、街路樹はすっかり赤や黄に色付いて、昼夜の寒暖差を物語っている。
大陸の中でもやや北寄りに位置する帝都に比べれば、冬へと向かう気候の下り方は緩やかとはいえ、風は冷気を含んで、上着を身に着けていても少し肌寒い。
「俺、ぼうっとしてたみたい。すみません」
もう一度謝罪の言葉を口にして隣に並ぶ。するとフレイアは小さな嘆息とともに彼の方へと振り向いた。険の強くも見える翠色の瞳も、今は出来の悪い弟に対するように半ば諦め混じりだ。事実、同年の妹を持ち己の父親の小さな『友人』でもあった彼女は、生まれてからこの方常に姉代わりのような存在だから仕方ない。
「自覚症状がない辺りで最悪よ。あなたの場合、基本(デフォルト)がそれというのも問題があるけれど」
「いや、だから悪かったって、謝ってるじゃないですかフレイアさん?」
「わたしに謝るより、これからは気を付けなさい」
「 っかりました。というか、どうしてあなた達は気付くんだろう」
これではオークスの面目が立たない。屋上とその先を占める中空とを隔てる腰の高さほどの柵に対し、つっかえ棒のように腕を伸ばして言えば、「あなた、達?」と彼女は怪訝に眉を顰める。
「この前、ルーファス殿下にも怒られました」
「あなたが威嚇したんでしょう」
「ちょっと大人げなかったね」
「……呆れた」
「え?」
「もう少し人間らしく足音くらいは立てなさいな」
柵の向こうに広がる遠景に視線を注いだまま、こちらをちらと見ることもせずに彼女は言う。素っ気無い口調の指摘に一瞬考え込み、そしてようやく意味を把握した。
「あ、ごめん」
忠告に対し軽く謝ってから、視線を落としたヴァルトは自分の足元を見つめる。配慮が足りない。ここ最近、自分が感じているよりもずっと憔悴しているようだと思った。両の手をポケットに突っ込んだままトントン、と二、三度靴底で床を踏みしめるように音を立て、改めて白衣姿の金髪の女史に近付く。一からやり直しだ。
彼らがいるのはヴィルノア基地の本部棟屋上だった。広大な基地の全貌を見渡せる開けた視界、頭上には雲一つなく高く澄んだ晩秋の空が広がる。晴天だ。基地の併設するヴィルノア市側を望めば、街路樹はすっかり赤や黄に色付いて、昼夜の寒暖差を物語っている。
大陸の中でもやや北寄りに位置する帝都に比べれば、冬へと向かう気候の下り方は緩やかとはいえ、風は冷気を含んで、上着を身に着けていても少し肌寒い。
「俺、ぼうっとしてたみたい。すみません」
もう一度謝罪の言葉を口にして隣に並ぶ。するとフレイアは小さな嘆息とともに彼の方へと振り向いた。険の強くも見える翠色の瞳も、今は出来の悪い弟に対するように半ば諦め混じりだ。事実、同年の妹を持ち己の父親の小さな『友人』でもあった彼女は、生まれてからこの方常に姉代わりのような存在だから仕方ない。
「自覚症状がない辺りで最悪よ。あなたの場合、基本(デフォルト)がそれというのも問題があるけれど」
「いや、だから悪かったって、謝ってるじゃないですかフレイアさん?」
「わたしに謝るより、これからは気を付けなさい」
「
これではオークスの面目が立たない。屋上とその先を占める中空とを隔てる腰の高さほどの柵に対し、つっかえ棒のように腕を伸ばして言えば、「あなた、達?」と彼女は怪訝に眉を顰める。
「この前、ルーファス殿下にも怒られました」
「あなたが威嚇したんでしょう」
「ちょっと大人げなかったね」
「……呆れた」
*
「わたしは、あなたのお父上で慣れていたから」
あのひとも時々そうだったわ、と彼女は言う。
「いらっしゃるのをわかりたくて努力したの」
「そっか。ありがとね」
「でも、あなた達に本気を出されたらわからないわ、きっと」
「わたしは、あなたのお父上で慣れていたから」
あのひとも時々そうだったわ、と彼女は言う。
「いらっしゃるのをわかりたくて努力したの」
「そっか。ありがとね」
「でも、あなた達に本気を出されたらわからないわ、きっと」
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