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未完成の言葉の欠片 / ※印は要注意orネタバレ / 二次はクリア後前提です
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04/03/19
 冬の朝。広い窓の向こうから聞こえてくる、微かな鳥の羽搏き。その音に、少女は穏やかな微睡みの中から意識を呼び戻される。覚醒を促され、ようやく目を覚まして枕から首をもたげると、時計の針は既に七時過ぎを指していた。いつもならばもっと早くに起こしに来るはずの侍女が、今日はまだいない。部屋の中はしん、としていてやけに羽の音と風の音が大きく聞こえた。
 明るい朝の光は透明な硝子を通して優しく降り注ぎ、部屋の中の厳しい冷気を打ち消すように暖かく満ちている。陽光が眩しくて思わず目を細める。
 少女は上体を起こして、もう一度視線を窓の方へと向けた。
 真白い羽。舞い降りたそれは、こつこつ、と嘴(くちばし)で何度も窓硝子を叩く。白く大きな鳥だった。少女が気付いたのが判ったのか、鳥は軽く首を傾げて丸い睛で硝子越しに彼女を見る。しかしそれも束の間、白い鳥は優美に翼を広げて飛び去った。
 その際、何かをバルコニーに落としていったことに少女は気付く。寝台から足を下ろし、慌てて彼女は窓を押し開ける。
 そこに置かれていたのは一通の手紙。裸足のままバルコニーに出た少女は、そっとそれを拾い上げる。封はされていない。宛名も差出人も書かれていない封筒を、彼女は急いで開いた。
 中には一枚の便箋と、古びた鍵が入っていた。
『僕が留守の間、君に預けます。好きに使うといい』
 見覚えのある、癖のある字で便箋にはそう綴られている。封筒の口を傾けると、かさり、と音を立てて鈍い金色の鍵が掌の上に滑り出た。少し錆付いた、古い古いもの。あの塔の鍵だ、と一目で判った。気付いてすぐに彼女は踵(きびす)を返す。
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