未完成の言葉の欠片 / ※印は要注意orネタバレ / 二次はクリア後前提です
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2026.04.04 Saturday
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本来の慶紹編
2005.05.12 Thursday
順調だった旅の終わりは、最悪の嵐に見舞われた。
聖地に他者が足を踏み入れることを拒むかのように、その嵐は突然に訪れた。話によると、西から向かう船の十隻に一隻は同様の嵐に遭うという。それでも危険の多い長旅を敢行する者が多いのは、行く先が夢と希望に満ちた新天地であり、〈黄金の国〉と謳われた名高き金の産出国であるからだ。
旅の終着点である美しい島嶼(とうしょ)は、三十年程前に西方の人間によって『発見』された。大洋を漂流していた西の民が流れ着いたのが、この四方を海に囲まれた島国だったのだ。遠い昔、大陸から隔離されたために、独特の文化を発展させるに至ったという東の国。商魂逞しい商人達は挙(こぞ)って、新しい取引先を見つけるために東方への船団を組んだ。それに乗じて、文化学者や新しい土地を求める者が東に渡り、そしてついには国交が開かれた。
その国の名は――慶紹(ケイショウ)、別称を瑞穂国(ミズホノクニ)と言う。
それくらい、歴史の教科書を開けば判ることだ。
彼が乗船していたのは、〈東〉への輸出品を運ぶ船団の内の一隻だった。西の大陸から大洋を横切って東の大陸を廻り、何度か寄港して最果ての島国へと辿り着く。東方行きの航路は長期間に渡るため、船客として乗り込むような余裕は当然なく、片道だけの乗組員として。同様の方法で東へ渡る者は大勢いた。彼らのほとんどは乏しい自費での留学生や、故国で住む場所を失った放浪者であった。
気のいい仲間達との数箇月にも渡る旅の最後が、このような結末を描くとは、誰が予想し得ただろう。東の大陸の最後の寄港地を過ぎ数日経ったところで、突然空は模様を変えた。海は荒れ、船団の何隻かは途中で消えた。彼自身が乗っていた船も、荒れ狂う波に揉まれて激しく揺れた。
大きく傾いた甲板を滑り落ちていく乗組員仲間に、手を伸ばそうとした瞬間、高い波が覆い被さった。
そこから先の記憶はもうない。
聖地に他者が足を踏み入れることを拒むかのように、その嵐は突然に訪れた。話によると、西から向かう船の十隻に一隻は同様の嵐に遭うという。それでも危険の多い長旅を敢行する者が多いのは、行く先が夢と希望に満ちた新天地であり、〈黄金の国〉と謳われた名高き金の産出国であるからだ。
旅の終着点である美しい島嶼(とうしょ)は、三十年程前に西方の人間によって『発見』された。大洋を漂流していた西の民が流れ着いたのが、この四方を海に囲まれた島国だったのだ。遠い昔、大陸から隔離されたために、独特の文化を発展させるに至ったという東の国。商魂逞しい商人達は挙(こぞ)って、新しい取引先を見つけるために東方への船団を組んだ。それに乗じて、文化学者や新しい土地を求める者が東に渡り、そしてついには国交が開かれた。
その国の名は――慶紹(ケイショウ)、別称を瑞穂国(ミズホノクニ)と言う。
それくらい、歴史の教科書を開けば判ることだ。
彼が乗船していたのは、〈東〉への輸出品を運ぶ船団の内の一隻だった。西の大陸から大洋を横切って東の大陸を廻り、何度か寄港して最果ての島国へと辿り着く。東方行きの航路は長期間に渡るため、船客として乗り込むような余裕は当然なく、片道だけの乗組員として。同様の方法で東へ渡る者は大勢いた。彼らのほとんどは乏しい自費での留学生や、故国で住む場所を失った放浪者であった。
気のいい仲間達との数箇月にも渡る旅の最後が、このような結末を描くとは、誰が予想し得ただろう。東の大陸の最後の寄港地を過ぎ数日経ったところで、突然空は模様を変えた。海は荒れ、船団の何隻かは途中で消えた。彼自身が乗っていた船も、荒れ狂う波に揉まれて激しく揺れた。
大きく傾いた甲板を滑り落ちていく乗組員仲間に、手を伸ばそうとした瞬間、高い波が覆い被さった。
そこから先の記憶はもうない。
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