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未完成の言葉の欠片 / ※印は要注意orネタバレ / 二次はクリア後前提です
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07/02/11
「あ、まっしろ」
 かじかむ手でカーテンを引くと、眼下に広がる世界は一面の白で埋め尽くされていた。雪はまだ絶えることなく天から注いでいる。このまま当分降り続けるのだろう。
「きれいだね。まぶしい」
 笑みを浮かべながら幼い少年がこちらを振り返った。緋色の睛は細められ、目映い光を滲ませた。
 白亜の至宝と謳われた帝城。遠く、城壁は雪に溶け込みそうな様を呈している。その向こうに広がる針葉樹の森や遥かに見える稜線も、そして吐く息さえただひたすら白い。
 それはまるでやわらかく鎖された死のようで。息苦しくなるほどの静謐がそこにあった。
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07/02/04
「おまえは私を裏切らないだろう?」
 いつもと変わらぬ口調。
 それは絶対の信頼から生まれた言葉だったのか。それとも無条件の盲信か。彼にはどちらとも判断がつかない。
 けれど、『当たり前だ』とすぐさま返せなかったのは、これ以上の嘘を重ねることを心の何処かでためらった所為だろうか。軽く唇を開き、戸惑うように一度閉じて、そして再び彼は言葉を発する。
「……今頃何言ってるんだ」
「返事は」
「わかったことを訊くなよ」
 何事も知っているわけではあるまいに、そう心の中だけで自嘲気味に思う。その賢しさはいつか彼の命取りになるに違いない。もしも単なる偶然だとしたら、運命の神は今頃自分を見て笑っていることだろう。できすぎだ。全くのお笑い種。
 
07/02/03
「殿下がそんな気難しいお顔をなさっていては、娘達もお傍に上がること叶いませんわ」
 扇で佳顔の口許を隠した女が、くすりと含み笑いをする。
「わざわざ花柳の宿りに降(くだ)られて酒(ささ)ばかり召されることには、何か理由(わけ)がありまして?」
 銀髪の青年に近付いた社交場(サロン)の主が、柔らかく言いながら寄り添うように彼の腕に手を触れた。窓の外の夜景に視線を注いでいた男は、「……シニョーラ」女の生まれ故郷であるエトルリア風の敬称で彼女を呼び、振り返る。
「褥を一つにするだけが遊び方ではあるまい」
「まあ殿下、そのようなこと、殿下のようなお若い方が口になさる台詞ではなくてよ」
 上流階級の婦人さながらの嫋やかな身のこなしで、女はするりと扇を閉じた。彼女の名はベアトリーチェ・ロッシ――本名のそれよりも、『マダム・マッダレーナ』の通り名の方が有名だろう。自ら『罪の女』を名乗り、西大陸の裏社交界(ドゥミ・モンド)を風靡した徒花。
 かの南方の半島に貴族の娘として生まれたが、エトルリア最期の瞬き、爛熟と享楽の時代にロッシ家は逆賊の一門として断絶の憂き目に遭い、天涯孤独となった少女時代の彼女はローデシア王国へと落ち延びた。その先で、我が身の美貌と“歌姫”たる才知を武器に王侯貴族の寵愛を受ける高級娼婦(クルティザンヌ)――彼女の故国に習えばコルティジャーナか――となった、と言われている。やがて彼女はある帝国貴族の愛人となり海を渡った。現在ではその某伯爵に与えられた邸宅にサロンを開き、女主人として社交の場を提供している。経歴から推測すれば花の盛りはとうに過ぎているはずだが、その容貌はなお衰えを知らず見る者を惹き付ける。
 美しさは言うまでもなく、数ヶ国語を巧みに操り、詩作や楽器もこなす教養の高さをも彼女は持っていた。海外情勢への造詣も深く、政治談義にも加わってサロンの男達を大いに感嘆させる。
 クルティザンヌは常に最先端の流行とパトロンから贈られたきらびやかな宝石の数々を身に纏い、華やかな夜の街へと繰り出す。オペラ座やカジノには貴婦人と見紛うばかりの娼婦達が集っている。決して、ただ金貨の対価として身体を鬻ぐだけではない。“恋人”を選別する権利は、専ら彼女達の方にあった。貴族や裕福な商人、芸術家、時には歴代の国王まで、多くの男を手玉に取り破滅へと追いやった妖婦(ヴァンプ)。彼女ら高級娼婦の気を引き、または手元に留めるためにどれだけ高価な――時として破産を導くまでの――貢ぎ物を与えられるかが、男のステータスであった。
 ベアトリーチェが奈落へと突き落とした男の数は、如何程だろう。それは自分を地に貶めた同じ貴族階級への、復讐でもあったのかもしれない。その何処までが真実かは、彼女のみぞ知る、というわけだ。
 女一人のために自ら破滅への道を突き進んだ彼らの心情は理解しがたいものがあるが、確かにベアトリーチェのさばけた言葉の端々に表れる教養には心地よいものがあるし、周到に作り上げられた、魅せるための媚びや仕種に見境なく酔い痴れてしまうのが男の哀れな性(さが)なのだろう。
 彼は唇で笑って視線を流し、白手袋に包まれた指先でとんとん、とテーブルを軽く叩いた。小姓の衣装に身を包んだ給仕役の少年が、すぐさま近寄ってくる。囁きのような申し付けに、一礼をして踵を返す。
 再び現れた少年が手にしていたのは南領アールブルク産の三十年物の葡萄酒。気候条件から白ワイン用の種の栽培が主流である帝国(このくに)で、アールブルクは貴重な最高品種黒葡萄の生産地だ。多少無理のある所望の品が間を置かず出される辺りが、マダム・マッダレーナのサロンらしい。
 白いクロスの上に置いたボトルごとをそっと女に向けて勧め、
「愛らしく毒を持つ君の“娘”達に」
 彼は薄く笑ってそう言った。
 
07/01/29
「君の『人間的』の定義は?」
「冗長」
「あっははははは!」
 腹を抱えてひとしきり笑ってのち、「確かにそうだ」と彼は未だ哄笑の余韻の残る口でおかしそうにそう言った。少年は表情を変えることなく、押し黙ったまま男を見る。目尻にうっすらと涙まで浮かべて、何がそれほど彼の気に入ったのだろう。
「無駄を贅沢と感じるのは人間だけかもしれない。ということは、冗長であるってことは一番人間的ってことだよなあ」
「贅沢、」
「うん。無駄なもの食って無駄な話をして無駄な装飾身に着けて無駄な人間飼って無駄に発情して。なんて贅沢」
 大袈裟に両手を広げて、彼は口にする。
夢のメモ
・探索型ホラーゲーム
・黒いアリスと白いアリス
・プレイヤーは白アリスとなって黒アリスに攫われた人々を助けに行く
・全部で10ステージくらい
・各ステージごとに制限時間有
・ステージ1は小さい女の子と11人の音楽隊
・7つくらいの部屋
・黒アリスのいる部屋で黒アリスを見つけ損ねると逆に殺される(襲ってくる?)
・アリスの大好きなパパといちゃいちゃして挑発することも可
・クローゼットだったり棚の中だったり冷蔵庫の中だったり色んなとこに隠れている
・捕まえたアリスにはお仕置き~惨殺
・音楽隊はお揃いの服(本当は大人)
・音楽隊の11人は最後の部屋に押し込められている
・元の服・靴が全てピンクっぽく染まっている
・ぐろい。ちょとえろい。そしてバロック
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