未完成の言葉の欠片 / ※印は要注意orネタバレ / 二次はクリア後前提です
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2026.04.04 Saturday
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06/05/29
2006.05.29 Monday
大広間を満たす麗しい弦楽の音が、束の間やんだ。時刻は既に夜半を迎え、宴の享楽もやがて終わりを告げようとしている頃。軍の第一礼装である黒衣に身を包んだ青年は、ふと違和感を覚えて人の輪から視線を転じる。饗宴の主であるはずの上官は、ひとり窓辺の席で頬杖をついていた。酒精を嗜むでもなく、テーブルの上には、重なった白手袋がぞんざいに投げ出されたまま。
遍く世界が退屈だというかのように、彼は薄氷(うすらい)にも似た色の瞳、気だるい眼差しを遠く虚空に投げ掛けている。
もしかすると、本当に飽いているのかもしれない。そう思わせるに足る横顔だった。将来の帝冠は約束され、望めば何もかもが手に入る地位にあり、全てをそつなくこなしてしまう彼だからこその、驕奢な倦怠。
常に完璧を演じる皇太子が、そうして人目に拘らぬ姿も珍しい。それが逆に他者を拒む空気を滲ませる。端整な面差しは常より更に冷ややかさを増し、鋭利な刃物のような雰囲気を纏う。その所為か、誰も周囲に近付けずにいるようだ。
「――殿下」
遍く世界が退屈だというかのように、彼は薄氷(うすらい)にも似た色の瞳、気だるい眼差しを遠く虚空に投げ掛けている。
もしかすると、本当に飽いているのかもしれない。そう思わせるに足る横顔だった。将来の帝冠は約束され、望めば何もかもが手に入る地位にあり、全てをそつなくこなしてしまう彼だからこその、驕奢な倦怠。
常に完璧を演じる皇太子が、そうして人目に拘らぬ姿も珍しい。それが逆に他者を拒む空気を滲ませる。端整な面差しは常より更に冷ややかさを増し、鋭利な刃物のような雰囲気を纏う。その所為か、誰も周囲に近付けずにいるようだ。
「――殿下」
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06/05/28
2006.05.28 Sunday
7-14の元ネタ。
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「一体僕にどう書けって? 『あなた方の御子息は名誉の戦死を遂げられました』?」
「俺ならそう書くね」
それがお決まりの文句(テンプレート)だ。
「何が名誉だ!」
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「一体僕にどう書けって? 『あなた方の御子息は名誉の戦死を遂げられました』?」
「俺ならそう書くね」
それがお決まりの文句(テンプレート)だ。
「何が名誉だ!」
06/02/20
2006.02.20 Monday
「そういうおまえはどうなんだ」
「は? 俺?」
「前線で捕虜になったら」
「あらあ、もしかして心配してくれてるの? ダーイジョウブ、そんなヘマはしませんてば」
「誤魔化すな」
「もし捕まったら」
彼は笑って言いながら、揃えた右手の指先を左から右に引いて、自分の首を刎ねる仕種をする。
「熾己の足手纏いになる前にさっぱりと」
「……冗談で言ってるんじゃないんだぞ!」
「冗談じゃないよ」
「は? 俺?」
「前線で捕虜になったら」
「あらあ、もしかして心配してくれてるの? ダーイジョウブ、そんなヘマはしませんてば」
「誤魔化すな」
「もし捕まったら」
彼は笑って言いながら、揃えた右手の指先を左から右に引いて、自分の首を刎ねる仕種をする。
「熾己の足手纏いになる前にさっぱりと」
「……冗談で言ってるんじゃないんだぞ!」
「冗談じゃないよ」
05/06/06
2005.06.06 Monday
「タマネギ切ってるから。泣くよ?」
隣に並んで包丁を扱う手元を覗き込む熾己に対し、ヴァルトは軽い口調で言う。
「知ってるよ。タマネギの細胞中の催涙性前駆体が、細胞が切断される事により酵素と反応して、揮発性の硫化アリルに変化――」
「それは知識として知ってるだけ。経験してないでしょ、熾己の場合」
「……確かに、そうだけど」
「因みに、硫化アリルはストレスや不眠にも効くそうですよ。熾己さんには丁度いいかもね」
「莫迦にしてるのか?」
「いーえ、とんでもないです」
隣に並んで包丁を扱う手元を覗き込む熾己に対し、ヴァルトは軽い口調で言う。
「知ってるよ。タマネギの細胞中の催涙性前駆体が、細胞が切断される事により酵素と反応して、揮発性の硫化アリルに変化――」
「それは知識として知ってるだけ。経験してないでしょ、熾己の場合」
「……確かに、そうだけど」
「因みに、硫化アリルはストレスや不眠にも効くそうですよ。熾己さんには丁度いいかもね」
「莫迦にしてるのか?」
「いーえ、とんでもないです」